コラム2
前回は、北海道在住でギターをただただ弾ける様になりたいという一人の少年の話を書きました、ってそれは僕の事なんですが(笑)、その偶然出会ったフォークギター通信講座の課題曲、そしてテレビやラジオを通して出会った素敵な音楽とギターの話をしたいと思います。
当時、周りのクラスメイトの男の子たちが、プラモデル作りに興味を持つ、野球やサッカーに夢中になる、仮面ライダースナックのおまけのカードをひたすら収集する(笑)、今にして思えば、それらと同じ感覚で僕はたまたまその対象がギターという楽器だった…。
ところが、ギターを「演奏」するというその行為の向こう側には、当然ながら果てしない「音楽」という大海が広がっていた訳ですね。
AMラジオから流れてくる、流行の歌謡曲しか知らなかった僕が、実際自分の手で音楽(ギター)を奏でるという事を通して色々なアーティストの音楽に出会ってしまうのです。
やはり最初は日本のフォークソング!
通信講座の課題曲にもなっていた吉田拓郎の「結婚しようよ」という曲で、コードストロークで歌をリズムに乗せるという楽しさを知りました。
当時70年代半ば、既にこの曲はスタンダードな曲になっていたのですが、何と言っても曲のメロディーが素晴らしかったのですね!ちょっと「F」のコードには難儀しましたが、この曲を何とか弾ける様になった時、ちょっと目の前の風景が開けて行った様な(と言えば大げさかな?)高揚感を伴った感覚は今でも良く覚えています。
そして、「かぐや姫」という三人組フォークグループ。
やれ反体制だ社会派だメッセージだという70年代前半フォークブームの中にあって「4畳半フォーク」などと若干揶揄ぎみに語られていたグループでしたが、そんな事は当時ちょっとギターを弾ける様になって来て、音楽の楽しさに目覚めつつあった北海道在住の僕には何の関係も無く、テレビの向こう側でギターを抱えて歌っている彼らの姿に夢中に…。
フォークグループ(歌手)はテレビには出ない、という風潮の中、ヒット曲があった彼らは割と頻繁にテレビの音楽番組に出演していたという記憶があります。
そんな彼らの「妹」という曲、「D」のメジャーコードから始まるアルペジオのコード進行はとても美しい響きに感じました。
そんなある日、中学生だった兄が、井上陽水の「氷の世界」というLPレコードを買って来たのです。
もちろんこのアルバム、基本は所謂フォークなのですが、どの曲もギターを中心にしたアレンジとそのサウンドがカッコ良かった!
同時期に発売された「闇夜の国から」というタイトルのシングル盤、この曲の中になにやら不思議な響きのコードが…。
それは不思議な浮遊感のある響きのメジャーセブンスというコードでした。
こうやって僕は楽曲を通して色々なコードと、基本となるコード進行を覚えていった訳です。
当時フォークを歌っていた人達は本当にギターが上手でした、フォークソングを歌うにはまずギターテクニックを一通りマスターして、あくまで歌とギターだけで曲を表現しなければいけない、という風潮があった様にも思います。
なぜか僕は、フォークソングが大好きで聞いていた割には、歌う事にはさして興味も無く、ひたすら例の通信講座の教材のレコード、そして先に挙げたアーティスト達のレコードに合わせてギターを弾く事に至福の喜びを感じていました。
でもそれは前回も書いた様に、あくまで楽曲ありきのギタープレイという今の自分に繋がっているという気がしています。
余談ですが、今でこそ「アコースティックギター」略して「アコギ」なんて呼ばれていますが、当時はフォークソングを演奏する時に使うギターという事で「フォークギター」という呼ばれ方が一般的でした。もっと以前にカントリー&ウエスタン音楽が流行っていた頃には「ウエスタンギター」とも呼ばれていた様です、面白いですね~!
次回は洋楽について書いてみようかなと思っております!